※この記事には『BLEACH 千年血戦篇-禍進譚-』第45話「DEFEND YOU」までのネタバレ、および原作最終回までの内容が含まれています。
「BLEACHって、こんな展開だったっけ?」
『BLEACH 千年血戦篇-禍進譚-』第45話を見終わったとき、真っ先にそう思いました。
私は少年ジャンプ連載時に原作を最後まで読んでいます。一護とユーハバッハが戦ったことも、井上織姫が一護と一緒に戦場へ向かったことも覚えている。
でも……。
織姫、こんなことしたっけ!?
自らの身を犠牲にするかのように力を発動し、ユーハバッハとともに消えていく。さすがにこんな衝撃的なシーンなら覚えているはずです。
そこで改めて原作とアニメを比較してみると、記憶違いではありませんでした。
現在放送されている『BLEACH 千年血戦篇』は、単純に原作漫画を映像化しているだけではありません。むしろ、**「原作で描き切れなかったBLEACH最終章の完全版」**と呼びたくなるほど、大胆な追加・変更が行われています。
そもそも千年血戦篇は原作そのままではない
『BLEACH』の原作最終章「千年血戦篇」は、週刊少年ジャンプで2012年から2016年まで連載されました。そして2022年、ついにテレビアニメとして千年血戦篇がスタートします。
当初は「最後までアニメで見られる!」というだけでも嬉しかったのですが、実際に見ていると原作読者には別の驚きがありました。
「あれ? こんなシーンあった?」
「この人、原作ではこんなに戦ってなくない?」
そんな場面が次々と登場します。
それもそのはず。アニメ版では原作者の久保帯人先生自身が「原作・総監修」として制作に参加しています。
つまり現在の千年血戦篇は、原作を勝手に改変したアニメオリジナルというより、久保帯人先生自身がBLEACH最終章をもう一度描き直していると考えた方が近いのかもしれません。
原作読者が驚いた代表例「零番隊がちゃんと強い!」
個人的に「原作と全然違う!」と感じた代表例が零番隊です。
尸魂界の護廷十三隊よりも格上で、「零番隊5人の総力は護廷十三隊全軍以上」とまで言われた、とんでもない集団です。
ところが原作を読んでいたときは……。
「えっ、もう負けたの?」
というくらい、あっさりユーハバッハ親衛隊に敗北してしまった印象があります。設定上ものすごく強いはずなのに、その強さが十分に伝わらなかったんですよね。
ところがアニメでは大幅に変更。零番隊とユーハバッハ親衛隊の戦闘そのものが拡張され、ついには修多羅千手丸の卍解まで登場しました。
これは原作にはなかった展開です。
「ああ、零番隊って本当にとんでもなく強かったんだ」
原作で少しモヤモヤしていた部分を、アニメが見事に補完してくれたように感じます。
石田雨竜も原作以上に重要人物になっている
もう一人、大幅に出番が増えたのが石田雨竜です。
原作でもユーハバッハの後継者に指名される重要人物なのですが、最終章を振り返ってみると意外と戦闘描写が少ない。それに対してアニメ版では雨竜の戦闘や行動が大幅に追加されています。
「なぜユーハバッハは雨竜を後継者に選んだのか?」
「雨竜は本当は何をしようとしているのか?」
こうした部分が原作以上に丁寧に描かれています。
原作を読んで結末を知っているはずなのに、アニメ版の雨竜が次にどう動くのか分からない。 これも千年血戦篇アニメ版ならではの面白さでしょう。
最新45話。一護vsユーハバッハも別物に
そして第45話「DEFEND YOU」。
いよいよ一護とユーハバッハの直接対決です。一護は内なる虚の力を呼び醒まし、角が生えた姿へと変化。さらに「王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)」まで放ちます。
ここだけ見ると、原作を読んでいた人なら「そうそう、こんな感じだった」と思うかもしれません。
しかし、ここからが違います。
アニメでは一護とユーハバッハの戦闘そのものが大幅に拡張されています。原作では十分に描かれなかった一護の力を、アニメではかなり踏み込んで見せています。
原作を全部読んでいるはずなのに、知らない一護の戦闘が出てくる。
この感覚はかなり新鮮です。

原作では一護の「真の卍解」がまさかの……
ここで原作版を思い出してみましょう。
原作でも一護はユーハバッハとの戦いで、ついに新しい「天鎖斬月」を卍解します。
読者としては当然、
「ついに真の卍解!」
「どんな能力なんだ!?」
「これでユーハバッハと最終決戦か!」
と期待します。
ところが――。
ユーハバッハに未来を改変され、ほとんど活躍することなく折られてしまいます。
……え?
当時ジャンプで読んでいた人なら、この肩透かし感を覚えているのではないでしょうか。
せっかく一護が死神・虚・滅却師という自身のルーツを知り、新しい斬月を手に入れたのに、その真価がほとんど分からない。それが原作版でした。
だからこそ、アニメで一護の戦闘が追加されていることには大きな意味があります。
「本当の天鎖斬月はどれほど強かったのか?」
原作では描き切れなかった答えを、アニメで見せようとしているようにも感じます。
そして最大の衝撃――井上織姫
しかし第45話で一護以上に衝撃だったのが、井上織姫です。
織姫といえば、直接敵を倒すというよりも、防御や回復によって仲間を支えるキャラクター。今回も傷つきながら一護を守ろうとします。
ところが終盤、その「守る」という想いが、とんでもない方向へ向かいます。
自らの力を使い、自分自身を巻き込んでユーハバッハを消し去るかのような行動に出る。そして織姫自身も消えてしまう――。
「ちょっと待って!」
「織姫って原作でこんなことした!?」
ジャンプで最後まで読んでいた私も、一瞬自分の記憶を疑いました。
しかし、これは記憶違いではありません。
原作にはない展開です。
原作の織姫はどうなった?
原作でも織姫は一護とともにユーハバッハへ挑みます。一護の攻撃をサポートし、ユーハバッハの攻撃を盾舜六花で防ぐなど、最終決戦でも重要な役割を果たしています。
しかし今回のアニメのように、自分の命まで投げ出すような形でユーハバッハとともに消えるという展開はありません。
もちろん原作では最後まで生存しています。
最終話では一護と結婚し、息子の一勇も誕生しています。
だから原作既読者ほど、今回の展開を見て新しい疑問が生まれます。
「ここからどうやって原作のラストにつなげるんだ?」
「織姫死亡」と考えるのはまだ早い?
今回の描写だけを見ると、織姫は自分を犠牲にして消滅したように見えます。
ただ、本当に死亡したのでしょうか?
ここはまだ断定できないと思います。
なぜなら織姫の「盾舜六花」は、単純な回復能力ではないからです。
藍染もかつて織姫の能力について「事象の拒絶」と表現していました。起きてしまった出来事を治療するのではなく、その事象そのものを拒絶する力です。
だからこそ、今回の行動にもまだ何か仕掛けがあるのではないでしょうか。
そして、ここで思い出したくなる人物がいます。
月島秀九郎です。
原作終盤でユーハバッハに折られた天鎖斬月を復活させる際、織姫の力だけでは修復できませんでした。
ユーハバッハが「未来そのものを改変して折った」ためです。
そこで月島が過去に干渉し、「天鎖斬月が折られなかった過去」を作る。それによって織姫が天鎖斬月を元に戻せるようになりました。
となると今回も、月島の能力と織姫の能力が組み合わさることで何かが起きるのでは? と考えたくなります。
BLEACHの能力バトルは、単純なパワー勝負ではなく「能力と能力の相性」が重要なので、このあたりは次回以降かなり気になるところです。
もはや「原作を知っているから先が分かる」アニメではない
これが現在の『BLEACH 千年血戦篇』最大の魅力なのかもしれません。
普通、原作を最後まで読んだ作品のアニメ化なら結末を知っています。
「次はあの戦いだな」
「このあとこのキャラが登場するな」
そんなふうに原作を思い出しながら楽しむものです。
でもBLEACHは違う。
原作を読んでいるのに、先が分からない。
零番隊の戦闘が変わった。雨竜の戦闘が増えた。一護の戦闘も拡張された。そして織姫まで原作とはまったく違う行動を取った。
ここまで来ると、最後のユーハバッハ戦まで原作と同じように進む保証はありません。
原作ではユーハバッハをどう倒した?
ちなみに原作の最終決戦では、藍染惣右介が非常に重要な役割を果たします。
鏡花水月によってユーハバッハの認識を狂わせ、一護をサポート。さらに雨竜がユーハバッハに「静止の銀」の鏃を撃ち込み、その一瞬の隙を突いて一護がユーハバッハを斬ります。
これが原作の大まかな決着です。
では、アニメでも同じになるのでしょうか?
ここまで大胆に変更しておいて、最後だけ原作とまったく同じ――というのも少し考えにくくなってきました。
織姫の消失、雨竜の新規描写、一護の追加戦闘、そしてまだ控えている藍染。
役者は揃いつつあります。
千年血戦篇は「BLEACH完全版」なのかもしれない
『BLEACH』の原作最終章には、面白い設定や魅力的なキャラクターが大量に登場した一方で、
「もっとこの戦いを見たかった」
「この能力は結局何だったの?」
「終盤がちょっと駆け足だった」
と感じた読者も少なくなかったと思います。
だからこそ、現在のアニメ千年血戦篇を見ていると感じます。
これは単なるリメイクでも、原作を忠実に映像化しただけの作品でもない。
久保帯人先生が、もう一度BLEACHの最終章を完成させようとしているのではないか。
原作を読んでいる人も、アニメだけを見ている人も、そして十数年前に毎週ジャンプでBLEACHを追いかけていた人も。
今は全員が同じ場所に立っています。
「この先、一体どうなるんだ?」
原作を最後まで読んだ作品で、もう一度この感覚を味わえるとは思いませんでした。
そして何より気になるのは――。
織姫、本当に消えちゃったの?
次回を見るのが怖い。
でも、めちゃくちゃ楽しみです。

コメント